columnコラム
コラム・豆知識~形成外科 編
肥厚性瘢痕と真性ケロイド
時々形成外科の外来を訪れる患者さんの中にケロイドの方がいます。ケロイドというのは、皮膚が赤く硬く盛り上がったものです。その表面は皮膚が薄く少しの力ですぐに破れて出血したりします。しかし、一般的にケロイドといわれているものには実は二種類あります。それが肥厚性瘢痕と真性ケロイドです。肥厚性瘢痕というのは傷あと(手術の傷も含みます。)や、深いやけどのアトにできるケロイド状のものをいいます。これは傷あとの大きさ以上には大きさが増大しません。それに対して真性ケロイドは、特にけがや傷あとがなくて突然できて、だんだん大きくなっていきます。組織学的にはこの二つは区別ができないくらい似ています。このふたつのちがいは、先ほど書いたように、もともとの傷の大きさ以上に増大していくかどうかなのです。すなわち、肥厚性瘢痕は傷あと、真性ケロイドは腫瘍(できもの)のような性質を持っているといえます。
原因は、まだ分かりませんが、ケロイドになりやすい人、いわゆるケロイド体質の人はいます。でも、真性ケロイドの人は別として、傷あとが幅広く、赤く盛り上がっているからといって一概にケロイド体質であるとはいえません。その傷の治るときの状態や、手術仕方で違ってくるからです。
ケロイドになりやすいからだの部分があります。耳の周り、首のまわり、胸、肩などがそうです。また、体の中で動く部分(関節の周囲など)は傷あとの幅が広がりやすく肥厚性瘢痕になりやすいといわれています。