columnコラム
コラム・豆知識~皮膚科 編
ほくろ
いわゆる「ほくろ」(黒子)といわれているものは色素性母斑あるいは母斑細胞母斑というのが医学的な名称です。ほくろの大きなものはあざと呼ばれますが、これには扁平母斑、色素性母斑、太田母斑、青色母斑などがあります。これらのものは良性ですが、まれに悪性黒色腫や基底細胞腫という皮膚の悪性腫瘍と区別のつきにくいものもあります。急に大きくなってきたもの、出血のあるもの、形のいびつなもの、などは注意が必要です。
ほくろの治療には大きさや性状、部位が問題になります。治療の方法は電気やレーザーによる焼灼と、メスによる切除が一般的です。どちらも局所麻酔で行います。
平らで小さなものは、焼灼してしまう方法でよいでしょう。焼灼する方法では、術後の処置は抜糸もないため切除に比べると楽です。2週間くらいカサブタになって、それが取れると赤くなります。しかし、完全に取れなかったり、瘢痕になって、軽い陥凹を残したりすることがあります。
また、大きなもの、盛り上がっているもの、足の裏や手のひらにあるもの、などについては、悪性腫瘍の可能性があるため切除して病理組織検査を受けた方がよいと思います。切除は、ほくろを紡錐形(木の葉型)に切り取って縫合をします。目立ちにくい方向(しわの方向)に切除して形成外科的な縫合をするため傷跡はできますが、それほど目立たなくなります。
さらに大きなほくろやあざについては、2~3回に分けて切除したり、周囲の皮膚を移動してきたり(局所皮弁といいます)、皮膚を移植する(植皮といいます)といったことをする場合もあります。植皮の場合は他の部位から皮膚をもってくるため、どうしても周囲の皮膚と異なってしまうため整容的にやや劣ります。傷跡ははじめは赤く、固くなっているため目立ちますが、赤みが取れてくると目立たなくなります。目立たなくなるまでの期間は個人差がありますが、3ヶ月から12ヶ月かかります。また、赤みがある期間はできるだけ紫外線をさけた方が傷跡は目立たなくなります。